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【第2期】WW King 決定戦

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【第2期】WW King 決定戦

成績

レポート

ディフェンディング制となった後期WWプロリーグ。前期王者板川和俊プロが3名の挑戦者を迎え打つ。第5節までの結果で、以下の選手が決定戦に勝ち上がった。

1位通過、山本聡プロ
2位通過、岸野功武プロ
3位通過、中田一幸プロ

驚きなのがこの3名。前期プロリーグも2位~4位に入賞したメンバーである。それだけMCWWは実力を結果に変えられる選手がいるという事。更には今期こそ板川プロから王座を奪還しようという意気込みを感じた。

【1回戦】
強い選手はまず慌てない。自分の麻雀を貫いて、それがどこまでの結果をもたらすかに手応えを感じる。運はいい場合も、悪い場合もあるが、敵は自身を含む卓上の4名。緒戦を落としても、相手を意識して軌道を変えていくのが決定戦の醍醐味だ。

開幕がまずは王者板川が2件リーチを阻止してさい先のよい8000を山本からあがる。東4局は親の岸野に対して更に加点の猛攻をかけた。

しかし、ここからピンズのリャンメンをチーしたのが岸野。これが的を射たアガリで今度は板川のアガリを阻止する。

 
ツモ

やられたらやり返す。一本場は板川が978のリャンメンチー。そしてツモが早い。

 
ツモ

この間合いのよさがMCWWの決定戦のレベルなのだろう。

南場に入っても板川リードのまま進むが、つかず離れずにポイントを保っていたのが中田。テンパイ料や場を心得たアガリでトップに迫る位置につける。極めつけはオーラス、ソーズの仕掛けに激しい岸野の前に、中田にドラ2のテンパイが入った。


ドラ

3900では両脇から届かないので果敢にリーチ。予想通り、これがオリの条件のない岸野から出て、まずは中田が緒戦のトップをものにした。

【2回戦】
いつもは攻撃的な麻雀の成果が出る山本だが、この回も開局から中田に8000を打ち込みで調子が出せない。しかし、東2局では以下のリーチを1発ツモ。山本の攻撃的なボルテージが高まってきた。


ツモ ドラ

中田の親も300-500で流して迎えた山本の親番。岸野に早い三色のテンパイが入る。


ドラ

これを岸野らしくない五万切り。体調の悪さがあったとはいえ、これがいい結果を生まなかった。リーチをかけずに巡目が進んでピンフのテンパイが入るも、最後は山本の仕掛けに打ち込んでしまう。

  ポン
ロン ドラ

ここから中田が1300-2600で再びトップを取り戻した南1局の折り返し地点。岸野が親番の8巡目でリーチをかける。


ドラ

残念な事に河に9ピンが有りこれはフリテン。しかし、散家を威圧するには十分なリーチだろう。

ところが、これに一発で無筋を押したのがトップ目の中田だった。当然のように2発目も危険牌の3ピンを押して来るが、これはフリテンで当たれない。こうなると勢いは一気に中田に流れて追いかけリーチからの一発ツモ!?


ツモ ドラ

強者は攻守に渡り、機を見るに敏。岸野はこれで更に厳しいハネ満を親かぶりし、中田は連勝かつ大きなリードを保って3回戦を迎える事ができた。

【3回戦】
ここまでのポイントは、
中田114.1、板川▲1.3、山本▲35.7、岸野▲77.1

このタイミングでまさかの圧勝状態を誰が予想しただろうか。これで三者にとって、もう中田のトップだけは許されなくなった。

開局はいつも8000を献上していた山本が、今度は高めイーペーコーのダマテンで、岸野から8000をあがる。

東2局は板川らしい相手心理を掴んだアガリを見せた。


ドラ

以下の手からダマテンの手がわりを見ていたが、岸野から八万が出るや否や、ツモ切りリーチを敢行する。これがポンで前に出た山本のトイツ落としを捕らえて1300。上級者にしか扱えないテクニックだ。

このようなファインプレーが勢いを生む。板川が南1局の勝負どころで以下のツモ、

 ポン 
ツモ ドラ

波乱があったのが南3局、板川の親で山本が5巡目にドラの東をポン。手牌はチャンタと中バックが見える手をうまくまとめて、カン2ソウテンパイ。

 ポン
ドラ

ここは当然オリない板川であるが、もっか3着目の中田の課題はラスにならない事。しかし、ここは板川を警戒しすぎてか中田からまさかのカン2ソウが出てしまう!?これは目に見えた満貫だけに、もう少しケアがあってもよかったように思えた。

オーラスは2着確定ながら3900の仕掛けで板川が中田を条件のラスに落とすと、逆転の並びを作って次戦へ繋ぐ結果となった。

【4回戦】
中田68.4、板川21.1、山本8.8、岸野▲98.3

たった一回戦の攻防であっという間にワンマーク差が見えてきた。逆転劇を演出した板川、山本だけに、ここは上積みを重ねたい。

東3局1本場、自分の存在感をアピールしたい岸野がドラをアンコにするも、愚形テンパイを嫌ってとらずの山本に、ピンフのみで流される。

東4局、ここから一歩抜け出したのが板川。中田の追いかけリーチをかわして、満貫をつもりあがる。

南1局、板川が親。ここは当然連チャンラッシュをかけたい。早くに板川からリーチが入るが、ここに来て岸野に最高のテンパイがはいる。


ドラ

当然の追いかけリーチに6ソウを1発で掴んだのは親の板川。この局面の倍満は痛恨の打ち込みとなった。更には親の中田に高めイーペーコーの7700を打ち込むなど、不幸が不幸を呼んでしまう。

しかし、板川の麻雀にタラレバはない。今目の前に起こる事実をどう受け止めて軌道を変えていくか。二度の打ち込みにも板川が揺れる様子はなかった。

この回は岸野が初トップを獲得するも、中田が南場の親でしぶとく粘って2着をキープし、いよいよ大量リードで最終戦を迎えた。

【最終戦】
条件は以下の通りとなった。
中田80.7、山本▲7.6、板川▲26.6、岸野▲46.5

中田のワンサイドゲームとなったが、それだけ中田はここまで強い麻雀で場を牽引してきた。押しすぎず、引きすぎず、局面に合わせた正解の手順を踏んできた。

それでも、板川、山本、岸野は強い選手である。このままでは終わらないだろうと筆者は予想すれば、ここから予想を超える波乱が待ち受けていた。

開局は板川のリーチが実らず流局。注目は東2局一本場から。
親の山本が3巡目にドラの南を捨てた。これを見て中田がラストの5ピンを鳴いて中バックで流しにかかると、山本からリーチが入る。更には板川に南単騎のチートイツテンパイ。場に緊迫感がどんどんと増していく。

結果は板川が中をつかんでいたが、その前に親リーチに押せず中田がおりて流局。山本はまさかの南をトイツにしてのチートイツテンパイ、岸野は中田からならあがるメンホンテンパイ。やはり優勝への道を簡単に開けてくれない。

東2局2本場は板川が東を切っただけで、山本のチートイツに刺さり2400。この局面は貯まったリーチ料がありがたかった。そして驚きは東2局3本場、山本が3連続チートイツテンパイからのツモ!?


ツモ ドラ

この4300オールは山本の大爆発を予感させた。
4本場は板川がノミ手の6-9ソウをテンパイとらずでタンヤオに切り替えるが、中田から当たり牌が出ればこれは1300であがる。

東3局、今度は板川が親満を決めたい。

 

しかし、今日は板川のリーチが実らない。1本場は山本が中田から1000点をあがり、更に局が進む結果となった。

東4局、さすがの中田もここまで締め付けられると息が苦しくなる。12巡目に中田らしくない、親権を維持するだけの仕掛けをいれると、凄まじいスピードで山本からリーチが入った。そして、ツモ!?


ツモ ドラ

まさに破天荒!?4連続のチートイツは3000-6000の中田の親かぶりを生む。この時点の条件を振り返れば、

山本59700、中田15900

順位点を含めて一挙に100P差を返す驚異の逆転劇!?世紀の大逆転優勝が現実味を帯びてきた。

しかし、中田の背中にも全く焦った様子が感じられなかった。この男も10年は競技の世界で修羅場を乗り越えてきた。そんな事もあるでしょう、いつもの中田の声が聞こえた気がした。そして、中田の前進は再び始まる。

南1局は字牌を2枚仕掛けた中田の一人テンパイ。2局は7巡目に二万をポンして2000のアガリで、ラスの座を岸野に押し付ける。こうなると岸野が何もできなくなるのが中田に有利な条件に働く。しかし、ここからもう一局、波乱が待ち受けていた。

南3局、親は板川。しかし、中田の手が圧倒的に軽かった。無駄ヅモなしでこのイーシャンテン。


ドラ

ここは369を活かしてどちらかのリャンメンターツを外すのが本手だろうが、中田の選択は9切り。手広いがリャンメンが先に入ると形に困る手だ。この一手が山本の最後の逆転チャンスを生んだ。

結果は中田に先に一万が入ってしまい、やむなく(67)外し。八万を引いて果敢にノベタンリーチ!?しかし、ここから3ソウと(8)ピンを引いてくる。

14巡目、少し悩んだような、祈るような思いで山本から二万切りの追いかけリーチが入った。マンズが本線の中田に対して、勝負牌といえど苦しかっただろう。

互いにツモる度に熱い吐息が漏れた。中田が七万を掴んだ時は本人も打ち込みを覚悟しただろうが、これも躊躇わずに切った。

そして、結果はどちらもアガリには届かず流局。山本は二三四五六の3面張だったが、残念な事は一万が切れてフリテンだった事だ。この時の牌姿は最後にもう一度振り返るので、留意して頂きたい。

最終戦のオーラスの親はトータルトップの中田。山本の優勝条件は5200直撃、または満貫のツモとなった。中田は当然アガリには向かわない。そして山本から最後のリーチが入った。


ドラ

15巡目だったが、最後まで山本の意地が感じられるテンパイとなった。

こうして5回戦の長い戦いを終えて、中田一幸がプロリーグ優勝を迎えた。最後は山本の驚異の追い上げが見所だったが、前期と同じく惜しくも優勝には届かなかった。

しかし、11時からスタートして、終了したのは3時30分だった。時間無制限でこの終了時間は、いかに四者が早いかを物語っていた。

ここで筆者のわがままとして、南3局に話を戻したい。とてつもない攻撃力を見せた山本の追いかけリーチは、

からの二万切りリーチだった。

待ちはいいが、致命的なのはフリテンリーチ。しかし、この限定的な一局だけを言わせて頂ければ、三万切りリーチの選択もあったのではないかと思う。

理由は、中田から唯一ロンが言える選択だから。この時、中田は岸野と微差のラス争いだった。中田をラスに落とせば、オーラスは山本が無条件で流すか、中田のノーテンで優勝。フリテンツモでは、まだこの条件は覆らない。

結果は無情にも、もう一枚の二万のツモが早かった。ではなく、その結果が山本の綱渡りのような厳しい優勝条件を物語っていたのかもしれない。

ただ観戦だけをしていた私に言える事ではないが、凄く疲れた試合だったろう。技術だけではなく、気力、体力がぶつかる真剣な勝負だった。それだけに南3局の山本のアガリが決まっていれば、オーラスまでわくわくする展開をもっと観られただろう。

2016年も前期プロリーグがある。MCWWプロの次は王者中田を倒せるように、互いに切磋琢磨しようではないか。

執筆者:近野理智男
2016年3月7日

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