第 17 期(2023 年度前期)プロリーグ最終節レポート 担当 坂井準司
最終節を迎えてのポイント状況と卓組は以下の通り。(以下、敬称略)
【Aリーグ】 【Bリーグ】
1. 坂井準司 +235.7 1.斎藤陽介 +133.1
2. 有田圭壮 +94.9 2.姫路昴史 +90.8
3. 穂村勝利 +62.1 3.白石卓嗣 +78.2
4. 榮克明 +15.7 4.坂本健二 ▲149.6
5. 板川和俊 +2.3 5.中田一幸 ▲178.3
6. 高橋末治 ▲16.9
7. 山本聡 ▲103.3
8. 酒井佑介 ▲384.2
【卓組】
1 卓 坂井・穂村・板川・山本・酒井
2 卓 有田・栄・高橋・中田
3 卓 斎藤・姫路・白石・坂本
WWキング決定戦へ進出できるのは1卓・2卓で戦う9名のうちの上位 3 名。開始時点の圏内は 3 位の穂村(+62.1)ということになるが、6 位の高橋(▲16.9)までは逆転の可能性も十分にあるところ。過去のリーグ戦等から考えると、最終的にボーダーは 100P 前後になるだろうか。ただ、1 位の私(坂井)は3人に抜かれなければ良いので、4位以下とこれだけ(200P 以上)のポイント差があれば、余程のことがない限りは安心といったところだろうか。とはいえ、守備的になりすぎてバランスを崩して4連続ラス・・・なんてことにならないように、とにかく「ポイントを大きく減らすことなく卓内 1 位をキープすること」を心掛けていた。それでは私が対局した1卓のレポートをお届けします。
1 回戦(坂井・穂村・酒井・板川)抜け番:山本
東 1 局、2 局と連続で板川が 20・40 のツモあがりで4万点超えのトップめに。卓内 3 位の板川(+2.3)としては少なくとも 2 位の穂村(+62.1)をかわすことが必要で、理想は穂村とのトップ・ラス。その場合、開始時点のポイント差約60P は順位点だけでひっくり返る点差なので、このままいけばこの1戦での逆転も十分考えられるところ。板川にしてみれば「しめしめ」、穂村にとっては「まずい!」展開となったがその後、穂村と酒井も反撃。
オーラスを迎えた時には以下の点棒状況となっていた。
親(東家):板川 374 南家:坂井 239 西家:穂村 248 北家:酒井 339
現状ラスめの私だが、穂村との点差が 9 なので、とにかくアガればラス抜けできる状況。トップめの板川は2位の酒井との点差が 35 しかないので、できれば2位以下を大きく突き放すアガリをしたいところ。トップを守りつつ穂村をラスにするのがベストで、自分のアガリが見込めない場合は下家の私へのアシストも十分考えられるところ。つまり、このオーラスに限っては板川と私の利害が一致しており、例えばドラ字牌での私のタンヤオ仕掛けになら喜んで振込まで引き受けてくれるだろう。そのオーラス、ドラは東。私の配牌は残念ながらバラバラで端牌が多く、とてもじゃないが仕掛けられる手牌ではない。途中で対子が4つとなり、7対子が一番近道かな・・・などと考えているうちに酒井が発を仕掛け、ドラ東が対子の 10・20 をあっさりとツモアガり逆転トップとなった。結局私はラスのままだったが、私以上に板川の方がこの結果には不満だったかもしれない。
2 回戦(穂村・坂井・山本・酒井)抜け番:板川
東 1 局に私が酒井から 39 を直撃。連続ラスだけは避けたい私にとっては、ほっとするアガリだったが、ここからは私以外の 3 人の高打点ツモの応酬が続く。山本 20・40、酒井 30・60、山本 20・40 の後、この半壮三度目の山本の長打が炸裂!
ドラ発 3334578 ロン9 発発発(ポン)678(チー)
この跳満を酒井から直撃してトップ決定。振り込んだ酒井がラス。2着にはラス前に 30・60 を引きあがった穂村で私は3着。抜け番の板川とすればライバル穂村の3着以下を期待していたはずだが、残念な結果に。心中は「ダブル・サカイ、もっと頑張れよ!」だったかもしれない。
3回戦(酒井・山本・穂村・板川)抜け番:坂井
穂村(+57.3)VS板川(+17.7)の直接対決第二ラウンド。2 人が激しくトップを争う中、ハイライトは南2局に訪れた。
南2局 ドラ2 親の山本が 1 つ仕掛けたあと(234)、超弩級の聴牌がこっそりと板川に入る。「2333556678999 ツモ2 打8」ドラ2を引き入れてのダマ倍満。
親の山本の捨牌に7があり、今ならどこからでもこぼれてきそうな聴牌だ。
そして、同順の穂村の手牌が「四四六七八④⑥⑦⑧4467」こちらも三色が狙えるイーシャンテン。④にくっついた場合はどちらかの対子を落とすことになりそうだが、親の山本の河からすると四の方が危険に見える。その場合は恐らく4に手が掛かるのではないか・・・
と固唾を飲んで見守っていると、次順に穂村が引き入れたのはなんと、4枚目の4だった。
穂村 迷わず「リーチ」四四六七八⑥⑦⑧44467
板川 ノータイムで追いかけ「リーチ」2233355667999
まさしく勝負所!お互いに自模る手に力が入るが、結果は流局となった。局後に開かれた板川の手牌を見て穂村は肝を冷やしたに違いない。そしてこれは余談だが、板川のリーチ後のツモにはドラの2があった。タラレバ論で恐縮だが、結果だけを見れば2と5のシャンポンに受けていれば 3 倍満のアガリ。だが、100人中99人は板川と同じ両面受けにするだろう。(勿論私もそう受けます)
普通の手順通りに打ってはアガリがなかった板川と普通に打ってアタリ牌が出ていかなかった穂村。「牌山に嫌われる(あるいは愛される)」なんて言葉があるが、今思えばこの 1 局がこの日の結果を暗示していたのかも知れない。ここでの流局は穂村にとっては勝ちに等しい引き分けだったようで、その後は迎えた親で連荘して得点を重ね、ラス親で粘る板川を振り切って穂村が逃げ切った。穂村はこれでトータル 100P 超(+110.0)となり、決定戦進出に大きく近づくトップとなった。
4回戦(酒井・板川・坂井・山本)抜け番:穂村
東場は流局が続く重苦しい展開となったが、南場の親で酒井が40オールでトップめに。オーラスはラスめ板川にツモってウラドラが乗ればトップまで、というドラ待ち7対子リーチが入るが山に残っていたアガリ牌は無情にも脇に流れて流局に。私は最後のテンパイ料で山本を逆転して何とか 2 着となることができた。
5回戦(坂井・山本・板川・穂村)抜け番:酒井
いよいよ迎えた最終戦。卓内上位の成績は私(+197.1)穂村(+110.0)板川(▲1.5)となっており別卓の状況次第だが、穂村は2着以上で可能性大でトップなら当確だろう。決定戦進出をより万全なものにするために展開によっては卓内 1 位(私とのトップ・ラス)を狙ってくるかもしれない。板川としては4回戦のラスが痛く、穂村を逆転するためにはトップ・ラスかつ素点で51600点以上の差をつける必要がある。だが、どんなに厳しくても可能性がある限りは狙ってくるだろう。各自の思いが交錯する中、今期の最終対局が開始された。
その東1局に親の私が40オールのアガリ。
ドラ⑦ 二三四五五七七七⑦⑦ ツモ⑦ ポン②②②
これで本当に気が楽になった。後は安全運転を心掛けていればさすがにラスはないだろう。
途中、穂村→板川への80直撃があり、ひょっとすると・・・という雰囲気になりかけたが、板川の親番は私に早い聴牌が入りあっさりと流れる。自分でアガっておいて言うのも何だが、アナログ人間な私としてはこういう所にも板川への逆風を感じずにはいられなかった。
結局、オーラスを3着めで迎えた親番穂村が連荘してトップまで突き抜け終了となった。
別卓では有田が高橋の追撃を振り切って決定戦の椅子を手にした。これで挑戦者が、坂井・
穂村・有田の3名に決定。WWキング決定戦は 9 月18日(祝日)に放映予定ですので、ぜ
ひ皆さま御視聴ください。