最終節
レポート
いよいよ第一期プロアマ混合リーグは最終節を迎える事となりました。 開幕から大きな得点を叩き出したKEN2さんを、全開アタッカー大塚雄太プロがついに捕らえて、現在暫定の首位。フーミ・コシンスキーさん、KEN2さん、山本聡プロがそれを追う展開となりました。
【1回戦】大塚プロ、フーミさん、KEN2さん、山本プロ
強者が揃うとリズムがよくなるのが麻雀の常です。この四者、打牌がとにかく早い。東1局0本場にして四暗刻一向聴の山本プロでしたが、まずは大塚プロの満貫がそれを阻止します。
ロン ドラ
これで黙らないのがプロの意地。東2局は3人リーチの中で、山本プロが渾身のハネ満ツモ!!
ツモ ドラ
親を持ってきた山本プロはここでさらに畳み掛けます。安手の愚形でも、早ければ圧になるとばかりに即リーチをかけると裏ドラが乗って4000オール。 次局はダブ東アンコのいち鳴きテンパイを、かろうじてフーミさんがかわします。
ここまで前に出る機会のなかったKEN2さん。ドラの無い手を我慢して仕上げて、リーチから白をアンカンしてのリンシャンツモ!!
リンシャン
しかし、山本プロのアガリはこれに留まる事はありませんでした。 親番では以下の手をリーチをかけずにツモ。
ドラがない以上、やはりピンフ形か、ソーズに伸ばして最終形にするのがステルス流です。 1回戦は山本プロがトップを取り、大塚プロが2位とプロ勢が他を圧倒しましたが、終了時間は全卓最速の35分。レベルの高い対局に見ごたえを感じました。
【2回戦】大塚プロ、山本プロ、押谷さん、KEN2さん。
前節からここまでトータル170Pを叩き出してきた押谷さんがついに首位卓へ進出。まさに台風になる予感です。
東1局は押谷さんの300-500からスタート。東2局では押谷さんが16巡目にリーチをかけるも流局。 東2局1本場、KEN2さんに4巡目に一通三色を天秤にかける好手がはいります。
ドラ
しかし、このテンパイが遅れに遅れて7巡かかると、一万を引きいれてリーチも嫌な予感が走ります。
この本手リーチに対して果敢に前に出た大塚プロがあっという間にかわし、KEN2さんの状態の悪さをうかがえた一局となりました。
ここから先は押谷さんと山本プロの壮絶なリーチ合戦となりました。まずは押谷さんが2連続であがりリードするも、3度目の正直は山本プロの一発ツモが炸裂!!
南場に入り、山本プロが4連続目となるリーチ。しかし、おりない大塚プロに仕掛けてかわされると、勢いも下がってしまうのか。次局、山本プロが押谷さんに勝負牌で打ち込んで一気にラスへと落ち込みます。
これで押谷さんを除く三者が1000点圏内のラス争いとなり、最後は大塚プロの500-1000が効いて2着をキープ。2回戦でも土俵を割る事なく首位を死守いたしました。
【3回戦】大塚プロ、押谷さん、山本プロ、Ayaさん
ここまでの戦いを振り返ると、やはり注目は押谷さんの追い上げと、大塚プロの踏ん張り。全開アタッカーの名をおとしめる事なく、前のめりな麻雀でここまで堪えてきました。そこに2回戦で大きく点数を伸ばしたAyaさんがどう食い込むのか。
東1局は山本プロの1300-2600。東2局は押谷さんが山本プロから七対子を打ちとります。 東3局、押谷さんが以下のチャンス手。
ドラ
押谷さんは九切り即リーチ。これに対して七万切りリーチの大塚プロが369の三面張で勝利を決めました。
南1局、親の山本プロが大塚プロから5800を打ち取ります。迎えた1本場も激しく仕掛け、次は押谷さんから7700の手を捕らえます。 続く2本場、大塚プロの9巡目リーチにおりない押谷さんが、2つ仕掛けて見事な混一を決めました。
南2局、ここが一番の注目の局面となりました。これまで我慢を重ねてきたAyaさんに11巡目に以下のテンパイ。
ドラ
一発裏ありならばこれでもリーチかと思いきや、ここから5をほぐすのがAyaさんの懐の深さ。たちまちマンズ3枚を引きこみ、この形。
ドラ
Ayaさんが14巡目に三萬切りリーチに場が震撼。マンズは四万が場に4枚飛んでいるだけなので、これはかなり期待が持てます。
このリーチに対して、やはりおりないのが全開アタッカー大塚プロ。すぐのチーテンでドラ単騎と七万切りの選択となりました。 普通の選択であればドラ切りの七万単騎の選択だったでしょう。しかし、この男の全開ぶりは普通とは違いました。
「最高形を目指すのが僕の麻雀です。これまでそう戦ってきた以上、僕は何度同じ局面に立たされても七万を切りますよ」
結果は大塚プロが16000の打ち込み。しかしながら、この七万が打てる自分がなければ、首位には立っていないという彼の意識に脱帽いたしました。
このAyaさんのファインプレーにより、独走中の大塚プロを捕らえて、プロアマ春合戦は最終戦まで僅差の優勝争いにもつれ込む事となりました。
【最終戦】大塚プロ、押谷さん、山本プロ、Ayaさん
大塚プロと押谷さんが横並び、山本プロとAyaさんがそれを40P差で追うという白熱した展開となりました。
東1局、まずは押谷さんが親のリーチでペン3ピンをツモります。1本場は山本プロが1000-2000。
東2局では押谷さんが以下の手牌で、打点よりアガリ優先とばかりに打1ピン
ドラ
すぐにドラの2ピンを2枚引くもノータイムツモ切り。普通なら後悔も残りそうですが、結果を積み重ねてきた押谷さんは違います。ここで7ピンを引いてから軌道修正の9ピン落とし。それから2つ仕掛けて、大塚プロから1000点をあがりました。
麻雀は局面による勝負が関係します。局面に対応できるからこそ、押谷さんは現在の位置まで駆け上がってきたのです。このタンヤオのあがり以降、押谷さんの好機が到来します。
東4局の親で配牌イーシャンテン。5巡目リーチで追いかけてきた山本プロから9ソウをロン。
東4局1本場、これぞ絶好調のテンパイ。
ドラ
連荘を阻止しにきた大塚プロから二万をロン。押谷さんはこれで5万点オーバーとなり、ついに勝負は決したか と思われましたが、上位を倒せば下位が上がってくるのは条理です。山本プロが親番を残して暫定2位浮上。さすがステルスマシーン、押谷さんとの差はまだまだ大きいですが、逆転の可能性を繋ぎます。
南3局、1万点代となった大塚プロより全力のリーチ!! この時、押谷さんの手牌に安牌はなし。すぐに掴んだ牌は孤立牌の8ソウでした。
「今一番怖いのは順位逆転の可能性のある親の山本プロ。ならば、大塚プロには打ち込んでも、まっすぐ攻めるのが僕のスタイルです」
後のインタビューでこう語ってくれた押谷さん。この8ソウがこうなるから麻雀は面白い。
ドラ
まさかの16000返し!! 一局を見て感想を語るのは容易いですが、対局を全て見て語る事が、本来の解説の務めなのかもしれません。
迎えたオーラス。押谷さん35600、大塚プロ24500。
まさかの展開で、ダンラスの大塚プロがハネ満条件まで盛り返しました。ハネ満という条件は容易くありませんが、大塚プロがここまで全開だったからこそ、最後まで逆転の可能性に繋がります。 14巡目でまだ間に合うか?
ドラ
しかし、ここで時間切れを迎えて、大塚プロのテンパイは惜しくもアガリに届きませんでした。
こうしてプロアマ春合戦2015は劇的な戦いで押谷さんの優勝が決まりました。なんと押谷さんが第3節から叩き出したポイントは270P!! 脅威の爆発力による勝利となりました。
最後までレポートを綴らせて頂きましたが、筆者が思うのは麻雀は意志のゲームだという事。成功も、失敗も、意志の中に積み重ねていかなくては勝利に届かないという事。
優勝された押谷勇輝さんをはじめとし、今回参加された29名の選手のみなさまの奮闘に、心より拍手を送らせて頂きます。ご精読ありがとうございました。
執筆者:近野理智男
2015年7月12日
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