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【第1期】WW King 決定戦

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【第1期】WW King 決定戦

成績


MCWWプロリーグ最終節は、成績上位者5名と下位5名に分かれての対局となりました。今回リーグ戦の最下位に甘んじた私は抜け番となりましたが、これからの向学の為に観戦記を書かせて頂く事になりました。拙い文章とは思いますが、多くの方に対局の熱意をお伝えできるよう努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

ここまで厳しい戦いで上位卓の対局に位置したのは5名の選手。(以下、敬称略)

板川 227.2
岸野 167.8
山本 48.5
穂村 36.8
坂本 9.0

実績十分である板川、坂本の2人に対して、デビュー1年目の新人プロ3人がどう挑んでいくかに注目です。

【1回戦】坂本、板川、岸野、穂村(抜け番山本)

事実上の決勝卓。誰が開始の主導権を握るのか、四者の入り方が気になります。
開幕は穂村が14巡目に先制リーチを打つも、坂本、穂村の2人テンパイで流局。
東一局一本場、首位の板川が動きました。序盤に白をポンしてこの形

 ポン
ドラ

これを穂村から打ち取り、まずは開幕の先制点を上げました。

東三局。坂本の先制リーチが入るも、オリない穂村。今度は先制リーチの坂本から以下のアガリを捕らえて、トップ目に立ちました。


ロン

迎えた南場。ドラ6ソウで、3巡目に南家の板川が1をポンで仕掛けました。

みなさんでしたら何をイメージするでしょうか?ホンイツ、トイツ手、チャンタ等の仕掛けは真っ先に浮かぶでしょうが、やはりドラ色の仕掛けならば真っ先にホンイツ。

 ポン
ドラ

板川の仕掛けは手役に厚く、これがポンテンの満貫には驚きでした。
この手は早くも勝負ありかと思われましたが、岸野が10巡目に七をとりあえずチー!!

 

ではなく、きっちりテンパイを果たして坂本から1萬をロン。さすが前半戦を首位で折り返した岸野です。
点棒的に動きが少ないままオ―ラスで、接戦を打ち破ったのが穂村。ここで値千金の4000オールをツモ。

オーラス一本場。中盤を過ぎたところで板川がリーチ。3巡後、4を持ってくるとアンカンからいきなりのリンシャンツモ!!


ツモ ドラ

トップには届かなかったものの、これで岸野を300点差で捲り2着へ浮上。首位争いに持ち込みたい岸野は苦しいスタートとなりました。

1回戦終了時
板川 238.7
岸野 159.0
穂村 75.6
山本 48.5
坂本 ▲32.5

【2回戦】坂本、山本、穂村、板川(抜け番岸野)

1回戦見せ場を作れなかった坂本にチャンス手が入ります。これを8巡目に仕上げてリーチ。


ドラ

しかし、これを山本に1000点で捌かれてしまうところがプロ対局の厳しさです。
接戦で南場に突入すると、先程ファインプレーを見せた山本が、12巡目に以下の手から二切りリーチをかけました。


ツモ ドラ

これに先程はトップをものにした穂村が1発で打ち込み、山本の反撃が始まりました。

南三局、山本が来れば今度は坂本。


ドラ

今度は決めにいくと気合いのこもった渾身のリーチ。5巡後にこれをツモって裏ドラ1の3000-6000となりました。

迎えたオ―ラス。中盤に場が動き始めました。まずは坂本が仕掛けてタンヤオのテンパイ。

  ポン

これに山本が追い付いてチーテン。

 

そこに終盤、ねばり強い穂村のリーチが襲いかかります。
この勝負は穂村がものにしてカン4ピンをツモ、1000-2000をアガリで2連勝を決めました。

2回戦終了時
板川 216.5
岸野 159.0
穂村 108.7
山本 59.8
坂本 ▲54.7

ここまでは穂村が2連勝と目覚ましい活躍を見せ、上位陣の背中を捉えました。山本もプラスで優勝の可能性を繋いでいます。一方、岸野は1回戦から苦しいスタートになり、3回戦の板川の抜け番の際には、少しでもポイントを上積みしておきたいところです。

【3回戦】山本、坂本、岸野、穂村(抜け番板川)

これまで存在感のなかったステルス状態の山本が追い込みをかけます。
南1局、8巡目親の山本からリーチ。

13巡目に高めの1ピンを引きあがると、続く1本場は岸野の先制リーチをかいくぐり14巡目にツモ。


ツモ

点棒は一気に6万点台へ到達します。
迎えたオ―ラス、何とか点数を巻き返したい穂村が親の9巡目に先制リーチ

しかし、実は前巡にテンパイ取らずを選択しており、フリテン。この同巡に岸野も追いつきます。

これはまさかの同テンパイで流局。
続く一本場、やはり穂村が積極的に仕掛けます。

 ポン ポン

これも三者がしっかり対応し流局。チャンス手を2度逃してしまいます。最後は山本に軽くかわされて穂村がラスに。連勝スタートだけにここは悔やまれた戦いとなりました。

3回戦終了時
板川 216.5
山本 137.2
岸野 133.6
穂村 57.4
坂本 ▲55.4

ここにきて山本がステルス状態を解除して戦闘モードと化し、一気にトータル2位に浮上しました。4回戦は、板川、岸野、山本と上位対決。次の半荘でトップをとったものが優勝に近付く事は間違いありません。

【4回戦】岸野、板川、山本、坂本(抜け番穂村)

東一局、3巡目に板川が白をポンをすれば安くありません。それを理解している三者ですから、丁寧に対応し流局します。
東二局一本場、坂本の先制リーチに対して親の板川が追いつきます。

ドラ
<坂本>

<板川>

まさかの3色テンパイ同士。しかし、強者同士が戦うとこれほど流局が多いのでしょうか。お互いの勝負手を簡単に和了せてもらえません。
ここから坂本が小場のアガリで東場を進めます。
そして迎えた東四局、親の坂本がクイタンのテンパイを入れるも、11巡目山本がツモ。3000-6000で再び一気にトップ目にたちました。


ツモ ドラ

勝負どころは南三局、10巡目板川からリーチが入ります。


ドラ

親の山本もおりずに勝負するも、坂本からの追いかけリーチが先に入ってしまうとさすがに。結果はハイテイで坂本
が打ち込み、板川が優位に立ちました。

板川と山本の点差はわずか400点。オーラス、まずは大逆転を果たしたい親の坂本から先制リーチが入ります。


ドラ

これはメンホンテンパイの岸野から3ソウが出て3900の和了となりました。

続く一本場で3巡目に坂本が再び先制リーチを果たすも、やはりアガリには届きませんでした。
二本場では、坂本と山本が共に2つ仕掛けてテンパイ。12巡目、岸野が切った9ソウにロンの声をかけたのは、意外にも板川。


ロン

この混戦を制して乾坤一擲のトップをものにしました。

4回戦終了時
板川 258.0
山本 153.7
岸野 90.0
穂村 57.4
坂本 ▲69.8

5回戦、これで記念すべき第1期の前期プロリーグの優勝者が決定します。ここで、板川を追いかける選手の優勝条件を考えてみたいと思います。

板川と山本の差は104.3ポイント。トップラスで60ポイントの順位点を加え、44300点差を着ければ山本の優勝。
3位の岸野と板川の差は168.0ポイント。トップラスの条件に加えて100800点差をつけなければいけません。それは穂村、坂本にとっても同じで、かなり厳しい状況となりました。しかし、最後まで何が起こるかわからないのがプロ麻雀でありましょう。

最終戦は、岸野、板川、穂村、山本の座順でスタート。
東一局、9巡目親の岸野からリーチ。


ドラ

望まない(8)をツモして2600オールを和了。
一本場は穂村が1000-2000。いつも元気な穂村にも力が感じられません。

東4局、ここで誰もが予想しなかった事態が起こりました。板川が中盤過ぎに切った6ソウに、山本からロンの声がかかります。

 ロン

まさにステルスマシーンの真価を発揮しました。この18000点には、さすがの板川も肝を冷やした事でしょう。順位点と点差を加えたアガリで96ポイント差を埋めて、板川と山本のポイントが一気に横並びとなりました。更には山本が畳み掛けるように500オールをツモ。

勝負は南場に突入します。
南三局、6巡目に親の穂村に最後の見せ場を作る闘魂リーチ。


ドラ

同巡、板川の追いかけリーチが入ると、更に勝負熱が高まります。そして、要所でアガリを決められるのが板川の強さです。1300-2600で再び山本に追い付きました。


ツモ ドラ

これでいよいよ、オーラス山本の親番を残すだけとなりました。山本と板川の差は44600差、半荘開始時の条件を埋めて、山本が300点上回っています。
この天王山に先に王手をかけたのが板川。


ドラ

親番の山本はノーテンにはできません。一ツモ、一打両者ツモを繰り返し、ついに迎えた最終局。山本のツモ番はツモ切り。最後は岸野が安全牌を切って流局。

山本が苦しげに手牌を伏せた瞬間、板川の優勝が決まりました。どんな状況に陥っても最後まで努力を惜しまない結果が生んだ勝利となりました。

こうして2015年前期プロリーグは幕を閉じました。かつて私は板川プロにこう言われたことがあります。

「──努力は裏切らない。君の志をもって頑張りなさい」

私もこれに見習い、後期以降に向けて少しずつ成長していきたいと思います。拙い文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

執筆者:下野雄次
2015年9月26日

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